●この街が気に入って

　このあたりの街並を気に入っていろいろと物件をさがしたのですが、ちょうどこの物件が気に入って、空くのを待ちました。諦めかけた時、ようやく手にできた場所です。ここで、僕の思う店をつくることは、若い世代の菓子店の在り方になると思うのですが、都心か郊外かということに関係なく、限られたお金の中でどうやって表現できるかということでした。
　個人店のいいところは、季節に合わせてコロコロとその日だけのケーキも出せることですね。そういう日々の変化も面白いです。イグレックではケーキを食べれるサロンといったコンセプトでやっていたので、ワインとケーキの組み合わせなどもやったけど、もちろんそういったことも好きですね。

●トータルに自分らしく

　ケーキをつくることは自分を表現することで、僕の存在意義だと思ってます。もちろんケーキだけでなく店だってトータルに自分らしさを出したいですね。
　例えばこのウィンドウは陳列が見える部分以外をすりガラスにして、外から見て行灯のような効果を出そうと考えました。将来はここでアイスクリームを販売してはどうかと思い、すぐはずせるようにしてます。とにかく店は舞台ですからね、やりたい表現はいろいろ出て来ますが、それをお客さんに楽しんでもらいたい。こういった店がこの場所にできてすごく喜んでもらえたり、おいしいと言って食べてもらえるなら、この街でケーキをつくってる意義がありますよね。
（2002年6月・談話)